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空家・相続に関する法律が、いま一気に変わっています
「相続登記が義務化になった」「空家の固定資産税が上がるらしい」「国に土地を引き渡せる制度ができた」——最近、こんな話を耳にする機会が増えていませんか。
実は、これらはバラバラな話ではありません。2015年から2026年にかけて、空家・相続不動産に関係する法律が次々と改正・施行されており、すべて一つの大きな流れのなかにあります。
この記事では、2015年から2026年にかけての主要な法改正と制度を時系列で整理し、それぞれがどのような内容で、あなたの不動産にどう関係するかをわかりやすく解説します。
主要法改正・制度の時系列一覧(2015年〜2026年)
2015年以降の主要な法改正と制度の変化を、以下の表でご確認ください。
| 時期 | 法改正・制度 | ポイント |
|---|---|---|
| 2015年 | 空家等対策特別措置法 施行 | 「特定空家」の認定制度を創設。固定資産税の住宅用地特例を外す仕組みを導入。 |
| 2021年 | 民法・不動産登記法等の大改正(成立) | 相続登記・住所変更登記の義務化、国庫帰属制度の創設などを一括規定。2023〜2026年に施行。 |
| 2023年4月 | 相続土地国庫帰属制度 施行 | 相続した不要な土地を国に引き渡せる制度。最低20万円以上の負担金が必要。 |
| 2023年12月 | 空家等対策特別措置法 改正施行 | 「管理不全空家」を新設。悪化前の段階から行政が関与できるようになった。 |
| 2024年4月 | 相続登記の義務化 施行 | 相続を知った日から3年以内の登記申請が義務。放置すると10万円以下の過料。 |
| 2026年4月 | 住所変更登記の義務化 施行 | 転居後2年以内の住所変更登記が義務。放置すると5万円以下の過料が科される。 |
ポイント
各法改正・制度の詳細解説
① 2015年:空家等対策特別措置法の施行
2015年の空家等対策特別措置法の施行が、今日の空家問題対策の出発点です。
この法律の最大のポイントは、「特定空家」に認定された物件については、固定資産税の住宅用地特例を外せるようにしたことです。住宅が建っている土地は通常、固定資産税が最大6分の1に軽減されます。しかし特定空家に認定されて勧告を受けると、その軽減措置が失われ、税負担が最大6倍になる可能性があります。「このまま放置し続けると大きな経済的デメリットがある」と所有者が認識できる仕組みが、ここで初めて整備されました。
| 施行年 | 2015年(平成27年) |
|---|---|
| 目的 | 管理不全の空家が地域に与える悪影響(倒壊・火災・景観・衛生)を防止する |
| 主な内容 | ・「特定空家」の認定制度を創設(危険・衛生上問題がある空家) ・市区町村が助言→指導→勧告→命令→代執行できる手続きを整備 ・勧告を受けた特定空家の土地は、固定資産税の住宅用地特例が解除される |
| 所有者への影響 | 特定空家に認定・勧告されると、固定資産税が最大6倍になるリスクがある |
空き家を放置した場合の具体的なリスクについては、「空き家を放置するとどうなる?固定資産税6倍・損害賠償・相続の3大リスク」でさらに詳しく解説しています。
② 2021年:民法・不動産登記法等の大改正
2021年の改正が、今回の法改正の「核心」です。民法・不動産登記法・相続土地国庫帰属法の3本立てで、相続不動産に関する制度が抜本的に見直されました。
この改正が生まれた背景には「所有者不明土地問題」があります。2016年の国土交通省調査では、全国の土地の約20%が所有者不明または連絡不能な状態であることが判明しました。相続登記がされないまま代が替わり、相続人が増えるにつれて所有者の特定が困難になる——この問題が、震災復興用地の確保や道路工事などを妨げていたのです。
| 成立年 | 2021年(令和3年) |
|---|---|
| 内容① 相続登記の義務化 | 相続を知った日から3年以内に登記申請が義務化(2024年4月施行) |
| 内容② 住所変更登記の義務化 | 転居後2年以内に住所変更登記が義務化(2026年4月施行) |
| 内容③ 国庫帰属制度の創設 | 不要な相続土地を国に引き渡せる制度(2023年4月施行) |
| 内容④ その他の制度整備 | 相続財産管理制度の見直し・共有制度の改正など |
| 改正の背景 | 全国の約20%の土地が所有者不明(2016年国交省調査)。復興・公共工事の支障が深刻化 |
③ 2023年4月:相続土地国庫帰属制度の施行
「親から相続したが、遠くて管理できない山林がある」「売れない・貸せない土地をこれ以上持ち続けられない」——そのようなお悩みに応えて生まれた制度です。相続(または遺贈)で取得した不要な土地を、一定の審査を経て国に引き渡すことができます。
ただし「タダで手放せる」と誤解されることが多いため、ご注意ください。負担金は土地の種別・所在区域によって異なりますが、いずれの土地でも最低20万円以上が必要です。また、建物がある土地・担保権が設定された土地・土壌汚染がある土地などは申請できません。ご自身の土地が対象になるかどうかは、事前に司法書士にご相談されることをおすすめします。
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| 施行年 | 2023年4月(令和5年) |
|---|---|
| 制度の概要 | 相続(または遺贈)で取得した不要な土地を、一定の審査のうえで国(法務大臣)に引き渡せる |
| 負担金の目安(土地種別による) | ・宅地(市街化区域・用途地域外)、農地(一般)、原野等:20万円(固定) ・宅地(市街化区域・用途地域内):面積に応じた算定(最低208,000円〜) ・農地(市街化区域内・農用地区域・土地改良事業区域):面積に応じた算定(最低200,000円〜) ・森林:面積に応じた算定(最低210,000円〜、規模によっては100万円超) |
| 申請できない主な土地 | ・建物がある土地 ・担保権・使用収益権が設定されている土地 ・他人が利用している通路等がある土地 ・土壌汚染・地下物埋設がある土地 ・急傾斜など管理が著しく困難な土地 |
| ご相談の前に | 条件や費用はケースによって異なります。「使えるかどうか」の判断が重要なポイントですので、まずはご相談ください |
申請方法・手続きの流れ・費用の詳細については、「相続土地国庫帰属制度とは?申請方法・手続きの流れ・費用を司法書士が解説」をご覧ください。
④ 2023年12月:空家等対策特別措置法の改正施行——「管理不全空家」の新設
2015年の空家法施行から8年。2023年12月の改正では、「悪化する前の段階から対応できる」新しい仕組みが加わりました。それが「管理不全空家」という新カテゴリーの創設です。
従来の「特定空家」は、すでに危険な状態や衛生上の問題が顕在化した空家を対象とするものでした。これに対して「管理不全空家」は、そこまで悪化していなくても「このまま放置すれば特定空家になるおそれがある」段階で、市区町村が指導・勧告できるようになっています。
特定空家と管理不全空家の比較
| 比較項目 | 特定空家 | 管理不全空家(2023年新設) |
|---|---|---|
| 創設 | 2015年(空家法施行) | 2023年12月(改正施行) |
| 認定の段階 | 危険・衛生・景観上の問題がすでに顕在化している空家 | このまま放置すれば特定空家になるおそれがある空家 |
| 固定資産税への影響 | 勧告後に住宅用地特例が外れる(最大6倍) | 勧告後に住宅用地特例が外れる(最大6倍) |
| 行政の権限 | 助言→指導→勧告→命令→代執行 | 指導→勧告(命令・代執行は特定空家認定後) |
| 目的 | 悪化した空家への事後対応 | 悪化する前の段階からの予防的対応 |
この改正によって、「建物がまだ使える状態でも、管理状態によっては行政から指導が入る時代」になりました。「うちの実家は大丈夫だろう」と感じていても、草木の繁茂・外壁の剥落・屋根の傷みなどが進んでいる場合は、早めに対応を検討されることをおすすめします。
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⑤ 2024年4月:相続登記の義務化施行
2024年4月1日から、相続登記が法律上の「義務」になりました。これまで、相続した不動産の名義変更(相続登記)は任意でしたが、義務化によって「しなければならない手続き」に変わりました。
特に注意が必要なのは、「2024年4月1日以前の、過去の相続登記が未了の不動産も対象になる」という点です。「昔、親が亡くなったとき名義変更をしていなかった」という方も、2027年3月31日(施行から3年)までに登記していないと、過料の対象になるリスクがあります。
| 施行年 | 2024年4月1日 |
|---|---|
| 義務の内容 | 相続(または遺産分割)により不動産の所有権を取得したことを知った日から、3年以内に相続登記を申請する |
| 過去の相続 | 2024年4月1日以前の未申請分も対象。ただし施行から3年以内(2027年3月31日まで)が猶予期間 |
| 罰則 | 正当な理由なく申請を怠った場合、10万円以下の過料 |
| 特例措置 | 「相続人申告登記」という簡便な暫定手続きあり(本登記の代わりに申告のみ行うもの) |
| こんな方は早めにご確認を | ・亡くなった親の名義のままになっている家や土地がある方 ・相続した不動産を売却・担保にする予定がある方 ・複数の相続人がいて遺産分割がまだ済んでいない方 |
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⑥ 2026年4月:住所変更登記の義務化施行
2026年4月1日から、住所変更登記の義務化が施行されました。不動産を所有している方が引越しをした場合、転居後2年以内に住所変更登記をすることが義務になっています。
これまで住所変更登記は任意の手続きでしたが、引越し後に登記を放置していた方は、今後は過料のリスクがあります。また、不動産の売却や担保の設定をする際には、登記上の住所と現住所が一致している必要があります。「売ろうと思ったときに住所が違ってスムーズに進まない」というトラブルを防ぐためにも、早めに確認されることをおすすめします。
| 施行年 | 2026年4月1日(現在施行中) |
|---|---|
| 義務の内容 | 不動産の所有権の登記名義人が住所変更した場合、変更から2年以内に住所変更登記を申請する |
| 罰則 | 正当な理由なく申請を怠った場合、5万円以下の過料 |
| 過去の未変更分 | 施行前の未変更分も対象。施行から2年(2028年3月末)が実質的な期限 |
| こんな方は早めにご確認を | ・引越してから登記上の住所を変更していない方 ・以前とは別の住所が登記簿に残っている方 ・近く不動産を売却・担保設定する予定の方 |
義務化の対象者・費用・手続きの流れについては、「住所等変更登記の義務化を気仙沼の司法書士が解説|5万円の過料リスクとは?」をご覧ください。
また、法務局が導入した新制度「スマート変更登記」についても、「法務局のスマート変更登記とは?住所変更登記の義務化と手続き不要になる新制度を解説」で解説しています。
なぜ、これほど一気に法律が変わったのか
背景にある「所有者不明土地問題」と「空家問題」の深刻化
2015年から2026年にかけて、これほど多くの法改正が集中している背景には、日本が直面している二つの構造的な課題があります。
課題①:所有者不明土地の急増
国土交通省の調査(2016年)によれば、全国の土地の約20%が「所有者不明または連絡不能な状態」にあります。これは、相続登記がされないまま代が替わり、相続人が増えるにつれて所有者の特定が困難になった結果です。
所有者不明土地は、震災復興用地の確保・道路工事・公共施設の整備など、さまざまな場面で大きな障害になってきました。こうした問題を解消するために、国は「相続登記の義務化」「住所変更登記の義務化」「相続土地国庫帰属制度の創設」を、民法・不動産登記法の大改正としてまとめて整備したのです。
課題②:空家問題の深刻化
2023年の住宅・土地統計調査では、全国の空家数が約900万戸・空家率13.8%(約7軒に1軒)と過去最高を記録しました。人口減少・少子高齢化の加速によって、今後さらに増加する見通しです。
放置された空家は、倒壊・火災・不法投棄などの近隣トラブルの原因になるだけでなく、固定資産税の軽減措置が続くことで「壊さずに放置したほうが得」という状況も生まれていました。これを是正するために、2015年の空家法施行・2023年の改正施行と、段階的に制度が強化されてきました。
気仙沼市・南三陸町エリアが特に影響を受けやすい理由
全国的な問題ではありますが、気仙沼市・南三陸町をはじめとするこの地域が置かれている状況は、全国平均よりもさらに深刻です。
- 高齢化率の高さ 気仙沼市の高齢化率は41.3%(令和7年3月31日現在・宮城県「高齢者人口調査」)。相続が発生する件数は今後も増え続ける見通しで、放置されたままの不動産が増加するリスクが高まっています。
- 東日本大震災の影響 被災後の復興過程で、相続手続きが未完了のまま年数が経過した案件が多数残っています。相続登記義務化の対象となる「相続登記が未了の不動産」が多い地域です。
- 人口流出 若い世代が都市部へ転出し、実家を引き継ぐ人がいないまま空家化するケースが増え続けています。遠方に住む相続人が「どうすればいいかわからない」まま放置するケースも少なくありません。
- 名義変更の遅れ 「亡くなった親の名義のまま」で不動産を持ち続けている家庭が多く、相続登記義務化の影響を直接受けやすい地域です。
気仙沼市・南三陸町周辺では、相続登記・空家対策・住所変更登記のすべてにおいて、早めの対応が特に重要です。
まとめ:この記事のポイント
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2015年〜2026年の法改正を振り返って
この記事では、空家・相続不動産をめぐる法改正の全体像を解説しました。ポイントをまとめます。
- 2015〜2026年に主要な法改正が集中した 空家法施行・民法等改正・国庫帰属制度・空家法改正・相続登記義務化・住所変更登記義務化が連動して進んでいます。
- 背景は「所有者不明土地問題」と「空家問題」 少子高齢化・人口減少が生み出す構造的な課題に、国が本腰を入れて法整備を進めた結果です。
- 気仙沼市・南三陸町は特に影響を受けやすい地域 高齢化率41.3%・震災後の名義変更遅れ・人口流出という背景が重なっているため、早めの対応が重要です。
- 「放置するほどリスクが増す」時代になった 相続登記・住所変更登記の義務化・固定資産税の影響拡大など、対応を先送りにするほど費用・手間・リスクが増える仕組みになっています。
「どこから手をつければいいかわからない」方へ|はじめまして。気仙沼岩渕法務事務所の岩渕一徳です

相続登記・住所変更登記・空家の管理・国庫帰属の申請——どれも「自分には関係ないだろう」と思っていた方が、ある日突然「対応しなければならない状況」に置かれることは珍しくありません。
「亡くなった親の名義のままになっている不動産がある」「引越してから住所変更登記をしていない」「実家が空家のままになっている」——そのようなお悩みがある方は、まずはお気軽にご相談ください。
当事務所(気仙沼岩渕法務事務所)では、元法務局登記官・元市役所職員(固定資産税・家屋評価担当8年)という実務経験を活かして、相続登記・住所変更登記・相続土地国庫帰属制度の申請・空家の出口戦略まで、ワンストップでご対応しています。
まずは無料相談へ。初回のご相談は無料です。
「何から相談すればいいか分からない」という段階で構いません。状況をお聞きしたうえで、必要な手続きと解決策を丁寧にご案内します。
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